自由な地域=社会と、自律した個人の形成に向けて

アメリカのサブプライム・ロ−ンの破綻から始まった「金融恐慌」によって、全世界は大不況の波に呑み込まれている。とりわけ日本経済は、先進資本主義国の中で、もっとも激しい落ち込みようである。一部のグローバル大企業の輸出に依存してきた産業構造の脆弱さが、深刻な状態を招いたとも言われている。こうした中で誕生したオバマ政権は、目も眩むような大規模な財政出動によって、この経済危機からの脱出を図ろうとしているかのようである。私たちはいま、社会主義統制経済の行く着く先で「市場経済至上主義」を招来したように、市場経済至上主義の先には、「強力な国家」が待ち構えていた、というアイロニカルな事態に直面している。こうした極端な＜国家−経済＞の振り子運動によって翻弄されている私たちの＜社会＞は、どこへ向かおうとしているのか。そして、＜国家−経済＞という枠組に捉われない、新しい＜地域＝社会＞と、それを担う自律した＜個人＞を形成するために、いま、もっとも必要とされていることは何なのか！？　経済学、宗教学、哲学、思想、芸術・文化など、各界の第一人者によって、多面的角度から考察する連続＜ト−ク&シンポジウム＞。