(財)舞台芸術財団演劇人会議は、今年、装いを新たに『利賀フェスティバル』をスタートします。今年のテーマは“アジアから世界へ”。舞台芸術の宝庫ともいえるアジアの国々(韓国、インド、日本)のすぐれた舞台を上演します。また、このフェスティバルは、中国、ロシア、 アメリカ、ドイツという異なる文化的背景をもつ国々の気鋭の演出家たちが、日本の俳優やスタッフとの共同作業を通して、作品を創造し発表する、つまり創造の過程をも含んだ新しい型のフェスティバルです。
人々はいま、テクノロジーが可能にする素早い情報伝達によって、世界が均質であるかのような錯覚に陥る危険に直面しています。複数の人々が一定の場所と時間を共有する舞台芸術活動は、人間の差異性を認識し、その上で共存することの意味や方法を模索する場でもあります。テクノロジーのさらなる浸透のなかで、人間が可能性を秘めた存在として生きてゆくために舞台芸術が果たす役割は決して小さくありません。
私たちは、この試みに興味をもって下さる皆様とともに、この事業を時間をかけて成熟させることができればと願っています。