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ご挨拶

新しく人類の共有財産を創り出すための具体的な実践をしていくこと

公益財団法人 舞台芸術財団演劇人会議 理事長 平田オリザ

公益財団法人
舞台芸術財団演劇人会議
初代理事長
鈴木忠志

 私たち日本人は高度な電子情報化社会の中を生きはじめました。そこでは、日本のみならず、世界は空間的にも時間的にも圧縮され、日本の各地域で生活する人たちの情報を素早く共有することができるだけではなく、いま地球上ではどのようなことが起きているのか、それに対してどのような反応があるのかも同時進行的に知ることができるようになりました。しかしその反面、かつて富の配分をめぐって、はなはだしい不平等が起こったように、情報の不平等化のために不安定な社会状況が起きつつあるのも事実です。また電子情報化によってもたらされた急激な生活様式の変化は、世代間の断絶や家族・地域の崩壊という現象も引き起こしています。そのため世界の多くの人々は、社会道徳や倫理観の低下によって、予測もつかない犯罪や事件が起こるのではないかという不安をも感じはじめています。

 こういう時代を生きる人間に必要とされることは、それぞれの民族や国家が大切にしてきた文化遺産の中から、何がこれからの人類共有の財産になるのかをもう一度検討することではないでしょうか。そして、新しく人類の共有財産を創り出すための提言や具体的な実践をしていくことが大切だと思います。それにはまず、今まで日本人が長年にわたって形づくってきた精神的価値観や社会制度を再検討するところからはじめなければなりません。そして、よりよいものは残し、人間ひとりひとりが実り多い人生を送るために障害となるような価値観や制度は変えていかなければなりません。それでなければ、私たち日本人が21世紀の世界に何らかの大切な役割を担っていくという実感と、それによってもたらされる生きがいをもつことはできないでしょう。

 舞台芸術の創造やその環境づくりに携わる私たちが、財団法人舞台芸術財団演劇人会議を設立したのも、21世紀に希望をもって生き続けるために必要な、そうした変革と創造という努力を共同して行おうとしたためにほかなりません。むろん、新しい価値観やそれによってもたらされる制度を誕生させるためには長い時間と、それを生き続ける情熱がなければなりませんが、ともかくこういう視野に立って、この志を具体化していく行動を起こすことにしました。試行錯誤もあるかと思いますが、ひとりでも多くの方に私たちの活動を興味深く見守っていただき、ご支援をいただければと思います。

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